自宅でドライフィルムエッチング

自宅でできるドライフィルムエッチングです.

ドライフィルムエッチングはプリント基板の感光剤として,ドライフィルムを使用するものです.通常の感光基板の場合は生基板の上に液体の感光剤を薄く塗布します.一方のドライフィルムは生基板の上にドライフィルムを熱圧着することで,感光剤と同じように感光できます.感光剤は換気が必要だったり,厚さを均一にする必要があったりするので取扱が大変ですが,ドライフィルムなら楽ちんです.

ドライフィルムの入手

ドライフィルムはebay,aliexpress,Amazonなどで購入するのが簡単です.Amazon.co.jpからの購入でも中国からの発送で2週間から1ヶ月程度かかります.値段はEbayもAmazonもそんな

マスクフィルムの用意

マスクフィルムはOHPフィルムやサンハヤトのインクジェットフィルムを使用します.OHPフィルムでも製作できます。サンハヤトのインクジェットフィルムのほうがきれいに作れると言われています.

(2024.05.07追記 サンハヤトのインクジェットフィルムは販売終了したようなので、OHPフィルムを使うしかなくなったようです)

OHPフィルムの場合はインクジェットとレーザプリンタで商品が違うので,ご注意ください.

フィルムへの印刷は反転印刷を行います.ドライフィルムは光のあたっていないところが,感光したときに落ちていきます.(残すところに光を当てる).

KiCadの場合は「製造ファイル出力」からPDFをつくります.

  • 出力フォーマットを「PDF」
  • 含まれるレイヤを「F.Cu」または「B.Cu」にチェック(両面基板の場合は片面ずつ,2回行います)
  • 「ネガ出力プロット」にチェック
  • ドリルマークを「小」
  • 「製造ファイル出力」をおして,PDFを作成

PDFはデフォルトでKiCadのプロジェクトフォルダに作られます.PDFを開いてからフィルムに印刷します.小さい基板の場合はフィルムをA6サイズなどに小さくしておくと,フィルムの量が削減できます.

ドライフィルムの熱圧着

ドライフィルムをプリント基板に圧着します.

ここから,感光が終わるまでは紫外線のない部屋で作業します.

まずはリールになっているドライフィルムを切り出します.

圧着前のドライフィルム

コピー用紙の上に生基板(スチールウールで磨き,アルコールやパーツクリーナで油脂を洗浄)をおき,ドライフィルムの基板側の保護フィルムを剥がして載せます.(上側を剥がすと,ドライフィルムがラミネータにくっつきます)

ドライフィルムは「保護フィルム(透明)|ドライフィルム(青い)|保護フィルム(透明)」になっています.

プリント基板にドライフィルムを載せた状態

ラミネータに入れて圧着後,基板をハサミで切り出します.ドライフィルムは髪にくっついているので.

ラミネータで圧着後切り出した様子

露光

表面の保護フィルムをはがします.

露光は通常のエッチングと同様に紫外線ライトボックスだと2,3分.蛍光灯だと5分ほどあてます.(LED蛍光灯は紫外線が含まれないので不向き)

露光後のようす(サンハヤトのボックスを使用)

フィルムの間に基板とフィルムを配置し、真空にして密着させるものも売っています。きれいにできますが高い、、

感光

感光はサンハヤトのスプレータイプの現像液がオススメです。

粉末の現像剤を水に溶かすのが一般的ですが、プリント基板の上にシュパシュパ液をかけるだけで使えるスプレータイプがおすすめです。(お湯を計量して現像液を溶かす必要はない)

エッチング

あとはエッチングします。

オススメの方法

  1. エッチング用のたらいを用意して,45度ぐらいのお湯をいれる.
  2. ジップロックにエッチング液を入れて,湯煎であたためる
  3. プリント基板をジップロックにいれる
  4. ジップロックを揺らす→基板を取り出してチェックを繰り返す(ジップロックを破らないように注意)
  5. プリント基板を取り出して水で洗浄
  6. 廃液処理をするか,再利用するならエッチング液を元の容器に戻す
エッチングして,穴あけ後(最も細いところはKiCad標準の0.25mm)

エッチング液はサンハヤトのものを使っています。品質が安定していますし、廃液処理剤もついているので使いやすいです。

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